片翼の天使たち~fastlove~





タオル…って、フェイスタオルのほうがいいよね。


遥翔ビショビショだったし。





そう思い、あたしはお気に入りのイチゴ柄のフェイスタオルを持って教室を出ようとした。




なのに




___ドンッ




「ッテーな」




あまりのそそっかしさに、逆に笑えてくる。




誰かとぶつかって尻もちまでつくなんて……遥翔見てなくてよかったよ。


こんな恥ずかしいとこ、見せらんない。





私は立ち上がり、髪をくしゃっと握る、ぶつかった男の人に謝ろうと、顔を上げた。





「ごめんなさ……って、唯!?」

「なんだ、お前か」

「お前かって、ごめんなさいね!」




女の子に対して失礼でしょ。



このクール美少年が!!

……あれ、これじゃあ完璧、唯のこと褒めてるよ。





「ってゆか、Aクラスの前でなにしてるの?」





唯たち生徒会メンバーは、特進クラスでもトップのSクラスにいる。



ま…私は遥翔のコネでAクラスだけど。

そもそも学年違うしね。





「あ!そうだ。サクラ、かくまって」

「はいっ!?」




唯はそれだけ言うと、私の返事なんてお構いなしにAクラスへとズカズカ入って行った。





な、なんて自由人!!
ってゆか、かくまるって、なにから!?





それに…唯、有名人だし。


超イケメンで、超モテモテだから、ここに来たら逆効果なんじゃ……






「「「きゃぁぁあああ!!なんで唯様が!?」」」





あ…。
そのセリフ、お決まりなのね。



みんなして、〝唯様〟って。


まるでロイヤルファミリー扱いじゃない。







ホントはただのクールで毒舌なS男だっていうのに!!






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