ショコラ~愛することが出来ない女~


「ほら、桂木さん。あちらでお話ししましょう。これが先ほどのスイーツの発案者である佐藤です」


オーナーに追い出されるように厨房から出され、佐藤さんという忘れてもすぐ思い出せそうな名前のパティシエさんと名刺交換をする。

彼の話を聞き、生みだすまでの苦労話なんかも聞きだす。
そのあたりは、仕事だからちゃんと頑張った。

でも、頭の中からさっきの彼が離れない。

お礼を言ってホテルを出ると、福ちゃんがニヤニヤ笑う。


「康子ちゃん、なんか途中から変じゃない? 厨房にいい男でもいたか」


中々鋭いな。
まあ誤魔化す必要もない。
あたしは彼を逃がす気はないんだから。


「あたり。さっさと社に戻ってこの記事まとめ上げるわよ。今日はこのレストランの終業時間より前に帰る!」

「え? おい」


福ちゃんを追い抜かして、どんどん先に歩く。

私はまどろっこしいのは嫌い。
欲しいものは自分の力で掴みに行く。

きっかけだってそう。
次の偶然なんて、待ってたっていつになるか分からない。

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