ショコラ~愛することが出来ない女~
「私は桂木康子、歳は24歳。雑誌社勤務。仕事は好きだけど残業多いのがちょっと不満って感じ」
「……はあ」
一気に言いきった後も彼は驚きから覚めないみたい。
「これで私の事はわかったでしょ? あなたの事も教えてください」
「え?」
「分からない? あなたに興味があるの」
「ええっ?」
あの時の目をひんむいたような隆二くんの顔は忘れられない。
思わず噴き出してしまったほどだもの。
私の強引な押しにおびえていたのかも知れないけど。
彼は名前を歳と携帯の番号を教えてくれた。
相本隆二。21歳。
このホテルには勤めて6ヶ月。まだまだ雑用ばかりなんだそう。
でも実は、あのムースの泡立ては隆二くんがやったんだそう。
ムースはきめ細やかな泡が舌触りを左右する。
そう考えると、彼の繊細な仕事ぶりが目に見えて嬉しくなった。