ショコラ~愛することが出来ない女~

 やがてフランス料理の店に来る。
庄司くんにしては珍しいセレクトだ。
詩子の年齢を考えてのことなのかも知れない。


「で、籍は入れたの?」

「まだよ」


詩子は遠慮なく話を突っ込んでくる。いっそ小気味よいほど。


「なんで? 何か問題あるの?」

「彼の方のご両親とか。まあ色々ね」

「ふーん。あ、しまった」


ナイフを滑らせて落としてしまう。
少し顔を赤くした詩子に、庄司くんは笑いかけ、片手を上げてウェイターさんを呼ぶ。


「ふー。なんか、緊張しちゃう。あんまりこういう店来ないもん。すっごい高そう」

「あはは。詩子ちゃんは面白いなぁ」


仲良く……なってるな。
その浮かれ具合に苛立つほど。


「ね、康子さん」

「え? う、うん」


話を聞いてなかった。
適当に相槌を打つと逆側からの視線が気になる。
詩子め、そんなに舐めるように見ないでよ。

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