ショコラ~愛することが出来ない女~
それでも、泣きごとなんて言ってられない。
私は大人だ。
自分勝手な言動に、自分で責任をとらなきゃいけない歳にはなっている。
詩子を高校に行かせるだけの甲斐性はあったつもりだ。
だけど。
「やっぱり父さんを一人にしておけない」
詩子が、隆二くんの元に残るといいだした。
私は一瞬迷って、だけど頷いた。
内心、それもいいかも知れないと思ったのだ。
詩子がいれば、簡単に隆二くんに再婚話なんて舞いこまないだろうし。
私の事を思い出してもらえる。
だって詩子は、私にそっくりだから。
親として考えれば、詩子をここに残すのは問題だったと思う。
思春期の娘と男親なんて組み合わせよりは、女親の方がしっくりくるだろうし、経済面で見たって私と居た方が安泰だ。
でも結局私は自分の欲を優先した。
隆二くんに忘れられたくなかった。
詩子を通して、思い出して欲しかった。