ショコラ~愛することが出来ない女~
これ以上私より大切なものをつくらないで欲しい。
一番根底にあったのは、そんな気持ち。
賭けでもあった。
私の為に自分の望みを捨てれるのかと。
私はこんなに歳をとっても我儘で、
自分だけが好きなのは耐えられない。
あなたからの愛が欲しい。
それも一番じゃなきゃイヤだ。
大人の女としては、どうしようもないほど強欲。
でもそれを受け止めて欲しかった。
「……それでも、俺は自分の店を持ちたいんだ」
彼の口から出たのは、私の期待を裏切るものだった。
彼は自分の希望を優先したのだ。
それに対して、私はもう何にも言えなかった。
応援なんて出来ない。
彼が私からどんどん遠ざかって行くのを、目の当たりにして平気な顔をしている自信なんてなかった。
「じゃあ離婚しましょう」
精一杯の強がりで言えたのはそれだけ。
ゆっくり頷く隆二くんの姿は、涙でかすんで良く見えなかった。