ショコラ~愛することが出来ない女~
フラフラと窓辺による。
そこから見える店内は薄暗いけれども、奥にあるであろう厨房の方から差し込む光で、すっかり綺麗に片づけられている事が分かった。
帰らなきゃって思うけど、一度立ち止まると足が動かなくなる。
パンプスで歩き回った足は、軋むように痛い。
窓にうつった自分の顔に苦笑する。
なんて情けない顔してんだろ。
美人が台無し。
と言ってもさすがに皺は隠せない。
歳よりは若く見えると言っても、所詮は47歳のおばさん。
自然と漏れ出るのは溜息。
若かった頃に戻りたい。
肌に張りも艶もあったし、勢いもあった。
まあ、歳だけくっても精神的にはあんまり変わってないけど。
今だに子供みたいに、悪態ついて我儘をいう。
自分勝手に周りを振りまわして。
ただあの頃なら、それを普通に許せてもらえたってだけだ。