ショコラ~愛することが出来ない女~
詩子にとっては良い母でいたい。
隆二くんにとってはいい女でいたい。
その願いだって本物なはずのに、実際の私の本音とは相反する。
文句を言いつつ普通に彼に愛されている詩子に嫉妬している。
私だって素のままで愛されたい。
面倒くさい女になって、彼を困らせて。
それでも愛してると言われたい。
オレンジの混じった発色の良い口紅。
こんな小さな仕掛けに隆二くんが気付く訳がないと、分かっててもこんなことしてしまう情けなさってどうなの。
「その口紅、……見せつけてやって」
ホントの気持ちは、誰にも届かないまま。