今日で終わりにしてくれますか
「ちょ、っとアカリちゃん。笑わないでよ。酷いな・・・・」
「ふふ、ごめんね。今日の橘くん、ボーっとしてるから」
一瞬だけ不安そうに瞳を揺らしたその姿が少しだけ可愛いと思ってしまった。まるで、罠に嵌まったみたいに
少しずつ、少量の毒を流し込まれる
気づかない内に私は泥沼に嵌まって、もがけばもがくほど、流し込まれた毒で身動きが取れなくなる
そのことに気づかない私は、今日も彼と笑いあって、休息の日々を続けるのだろう
逃げて、ばかりなのに
本当は私、
「そういえば、何か話したいことでもあったんじゃないの?」
逃げるようにして質問を被せた橘くん。そこでまた違和感を覚えたが、ちょうど私もいいたいことがあったので、その問いに答えを返した
「今日ね、少しずつ他の人と話せるようになってきたの」
「・・・・・え?」
再度ふふふ、と笑う
一瞬だけ橘くんが、無表情で動きを止めた気がしたけれど、すぐに違う表情がうかがえたから、気のせいだと言いきかせて声を出す
「橘くんのおかげだよ。逃げてばかりだけど、顔を見ることは簡単になってきたの。あんなに息苦しかったのに、何だか楽でね」
「・・・ねぇ」
「これなら私、大丈夫かもしれな、」
「アカリちゃん」
ナイフみたいに鋭い声が突き刺さって、動きを止める