今日で終わりにしてくれますか





「あのね、アカリちゃん。俺言ってなかったかもしれないけどさ」

「う、ん」


いつもとは違う、威圧を含んだ凶器的な気配に、少しだけ肩が跳ねてしまう。誰だ、この人は


見たこともない彼の姿に、何故か


「アカリちゃんは別に他の奴と話さなくていいんだよ。君のことに気づけない輩は必要ないから」

「・・・・・え」

「だからね、アカリちゃん。無理して仲良くならなくていいよ。君には俺がいるでしょ。君の時間は俺の物だよ?だから、ね」


俺の要望に甘受されて欲しい


そう言っている気がした


「でも橘くん。それじゃ私、ダメになっちゃう」

「ならないよ。なっても、俺がいるから平気。アカリちゃんは安心して」


顔に浮かんだ笑みさえもがいつもと違った雰囲気で。すこし狂気の滲んだそれに、思わず後退りした


そしてその姿に、


─────────恐怖したのだ


穏やかに、無邪気に笑っているはずなのに。とても笑顔に見えない私は、おかしい


そう。私がオカシイだけなんだ。じゃないと彼の笑顔にそんなことを感じるはずがない


だって彼は、私の“世界”だよ?


「アカリちゃん。大丈夫だよ。俺がいるから」

「たち、ばなく」

「だーいじょーぶ」


背中に腕を回され、ポンポンとあやすように、優しく叩かれる。その仕草だけが優しい気がして


何故だか安著から泣き出してしまった


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