咲き舞う華は刻に散る


そんな土方の反応に美桜里は紅が塗られた紅い唇の口角を持ち上げ、彼に顔を寄せた。



「そんなに身構えずとも、私が居るんだ。奴を殺すのは容易い…」



美桜里は緋い瞳を細め、妖艶な笑みを浮かべる。



芸妓のように結われた藍色の髪が吹き込んで来た風に揺れ、彼女の美しさを際立てた。



至近距離で見ていた土方はつい、顔を赤らめてしまう。



少し離れた場所に居る沖田や原田もあまりの美桜里の美しさに固唾を飲んでいた。



すると、廊下から数人の足音がする。



「来たか…」



美桜里は土方に煙管を返すと、彼から離れた。



それと同時に華やかな襖が開け放たれた。



そこには、近藤に連れて来られた芹沢一派が居た。



山南は今夜行う暗殺に支障がないように環境を整えるために屯所に残っていた。



近藤達が来た事によって、接待が開始された。





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