咲き舞う華は刻に散る


「お前ら、こんな所で油売ってねぇでさっさと持ち場に戻れ」



「今日俺達非番だから、ゴホッ…暇なんですよ」



副長である土方が沖田達の隊務状況を知らないはずがない。



しかし、土方は彼らをどうしても部屋から追いやりたかった。



「なら、総司。お前は寝てろ」



「何故ですか?ゴホッ」



仕事の邪魔になるという理由もあるが、一番はこれ以上美桜里と沖田が共に居る所を見たくないからだ。



それに、沖田は――。



「仕事の邪魔なんだよ。それにお前、さっきから変な咳してっからだよ」



土方にもっともな意見を言われ、沖田はふて腐れたように唇を尖らせた。



「…分かりましたよ。部屋で休んでますよ」



沖田が珍しく自分の言う事を聞いた事に土方は呆気を取られた。



しかし、それには裏があったのだ。



すると、沖田は何かを探すように袂をごそごそとあさり出した。







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