咲き舞う華は刻に散る


「う…っ」



土方達が話しをしていると、眠っている美桜里が呻いた。



彼女は眠っている間も痛みに苛まれているのか、眉間にシワを寄せ、汗をかいている。



沖田は近くにある桶から手拭いを取った。



そして、美桜里が自分が寝込んでいた時にやってくれたように彼女の汗を優しく拭う。



「早く良くなってよ、美桜里…」



彼女を見つめる沖田の顔は穏やかだ。



土方は彼の発した言葉に驚いた。



沖田は飄々としているわりに警戒心が強く、美桜里の事も最初は警戒していた。



しかし、今は警戒する所か、彼女を気遣っている。



付き合いの長い土方や藤堂でさえも、彼のこんな所を見るのは稀だ。



これも美桜里のおかげなのだろうが、土方は複雑な心境だった。







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