咲き舞う華は刻に散る


ふと彼の背中が陽炎のように揺らいだ。



美桜里はとっさに彼の服を掴んだ。



「何だ?」



「な、何でもない…」



美桜里は土方に睨まれ、慌てて服を離した。



彼は怪訝そうに美桜里を見ると、屋敷の中に消えた。



「何だったんだ、今の陽炎みたいな揺らぎは…」



美桜里は額に手を当てた。



さっきの土方の纏う雰囲気…。



以前、違和感を感じた時と同じだ。



それは沖田が死んで、彼女が新選組に復帰した時――。






< 568 / 615 >

この作品をシェア

pagetop