咲き舞う華は刻に散る


「美桜里、茶」



「ん」



美桜里は茶を手早く入れ、土方が書き物をしている机に置いた。



彼は湯飲みを取り、茶を飲もうとした。



しかし、飲むのを止めた。



「おい。何だ、これは?」



「茶だよ」



「確かに俺は茶と言った。だが、西洋の赤い茶を入れろとは言ってねぇ!」



そう、土方が今持っている湯飲みには西洋の赤い茶、つまり、紅茶が入っている。




彼は紅茶よりも日本茶を好んでいた。



それは美桜里も知っている。



紅茶を入れたのは単なる彼女の暇潰しだ。



「そんなに怒るなよ。今、日本茶を入れて来るから」



「ったく…」



土方は若干キレ気味に湯飲みを美桜里が持つお盆に置いた。





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