咲き舞う華は刻に散る
土方は兵士達に酒を配っていた。
いつ死ぬか分からない奴らに少しくらいの休息を与えてやってもバチは当たらないはずだ――。
土方はそう考えながら、兵士達に酒を配っていた。
「美桜里、お前も――」
土方は美桜里にも酒を勧めようとしたが、彼女の姿は何処にもない。
「お前ら、美桜里が何処に行ったか分かるか?」
「川綵さんなら茂みの方に行きましたけど…。何か、顔色が優れないようでした」
茂みの方か…。
土方は兵士に礼を言うと彼女を探すため、茂みの方に向かった。
しばらく歩いていると、一つの影を見つけた。
「美桜里?」
名前を呼ぶと、影はビクリと肩を揺らし、こちらを振り返った。
「土方か…」
こちらを振り返った影――、美桜里はいつもの姿と異なっていた。