咲き舞う華は刻に散る


藍色の髪は漆黒に変わり、緋かった瞳は髪と同じ漆黒に変わっていた。



ただでさえ、綺麗な容姿をしている美桜里だが、黒髪だとその美しさが増しているように見えた。



「驚いたか?この姿は総司にしか見られてないからな」



美桜里は長い睫毛が伏せる瞳を哀しそうに細めた。



「満月の日にだけ人間になれるんだよ。でも、どちらにせよ、醜いだろ、こんな姿…」



「醜くねぇよ…」



土方は美桜里に近付くと、月明かりを浴びた黒髪を縛る紐を解く。



そして、その髪に触れた。



「…っ」



髪に触れると、美桜里は目をつぶり、身を竦めた。



「お前はどんな女よりも綺麗だよ。普段の姿も今も姿も…」



土方が指通りの良い髪を梳き、抜き取ると、彼女はゆっくり目を開けた。



少し潤んだ瞳が月明かりで照らされて、その眼差しは土方をまっすぐ捕らえている。



まずい…、理性が保てねぇ…。





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