描かれた夏風
手渡された缶を受け取る。暖かくて、心が落ち着く気がした。
「あげる。向こうで普通科の二年生が飲料屋やってた。これ飲んだら落ち着くよー」
「あ……ありがとうございます」
もう涙はひっこんだ。変わりに胸の中をモヤモヤしたものがうごめいている。
「何があったか聞いていいかな? 力になれることだったら力になるよ」
智先輩の優しい言葉に、また涙が出そうになってしまった。
今まで気づかなかったけれど、私は相当な泣き虫だ。
「……智先輩は誰にでも優しいですね」
「え? そうかな。むしろ真逆だと思うよ。自分と自分の大事な人以外は、極めてどうでもいい」
本人が自覚していなくても、智先輩は誰に対しても優しい。
泣いている後輩がいたら放っておけない、とてもとても優しい人だ。
「――で、そろそろ説明してもらってもいいかな?」
「え?」
智先輩の表情がいつになく真剣なことに驚く。
「野間野アスカの名前で展示されている絵……あれは友絵ちゃんの絵だね。違う?」
「ど、どうして判るんですか?」
「あげる。向こうで普通科の二年生が飲料屋やってた。これ飲んだら落ち着くよー」
「あ……ありがとうございます」
もう涙はひっこんだ。変わりに胸の中をモヤモヤしたものがうごめいている。
「何があったか聞いていいかな? 力になれることだったら力になるよ」
智先輩の優しい言葉に、また涙が出そうになってしまった。
今まで気づかなかったけれど、私は相当な泣き虫だ。
「……智先輩は誰にでも優しいですね」
「え? そうかな。むしろ真逆だと思うよ。自分と自分の大事な人以外は、極めてどうでもいい」
本人が自覚していなくても、智先輩は誰に対しても優しい。
泣いている後輩がいたら放っておけない、とてもとても優しい人だ。
「――で、そろそろ説明してもらってもいいかな?」
「え?」
智先輩の表情がいつになく真剣なことに驚く。
「野間野アスカの名前で展示されている絵……あれは友絵ちゃんの絵だね。違う?」
「ど、どうして判るんですか?」