描かれた夏風
「友絵ちゃんは送っていくわ。今日は帰ってくるの?」

「うん、でも晩御飯はいらないや。じゃあ、また後でね。友絵ちゃんも、また明日ー」

 アスカ先輩の睨みに耐えられなくなった智先輩が、強引にその場を解散へと持ち込んだ。

 私はふかぶかとお辞儀してその場を去る。

 アスカ先輩と一緒に帰るのは、久しぶりだった。

「――友絵ちゃん、ちょっと時間ある? 久しぶりに食堂でお茶しましょ」

「あ、はい!」

 私はアスカ先輩に連れられて、食堂でイチゴミルクを飲むことにする。

 アスカ先輩が注文したのはコーヒーだった。

 大人っぽくて憧れるけど、私は苦いものが苦手だ。

 放課後の食堂には、勉強している生徒の姿がチラホラとあった。

「友絵ちゃんさ――アイツと、どういう関係なの?」

 アスカ先輩が単刀直入に話を切り出す。

 質問の意図、アスカ先輩の真意がよくつかめなかった。

「智先輩ですか? 友達です」

 私が普通に返すと、アスカ先輩は渋いような顔をする。

 私は急に興味が湧いて、逆に問いかけてみた。

「先輩こそ智先輩と知り合いなんですね。親しそうでびっくりしましたよ」
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