描かれた夏風
「家族」
呆れたような表情で、アスカ先輩はさらに続けた。
「あいつに笑顔がないと調子狂うし家の中が暗くなるし、本当に迷惑」
「智先輩は家の中のムードメイカーだったんですね」
そう言うと、アスカ先輩は実に嫌そうな顔をした。
「どこが! あんなよくわからない奴、空気よ、空気。今、湿度が通常より十%アップしているの。超不快なの。――原因、わかる?」
「それは……」
私は口ごもってしまう。
智先輩が落ち込んでいる理由といえば、思いつくのは一つだった。
「ルカのこと……やっぱりショックだったのかな」
一人ごとをつぶやいたつもりだったけど、アスカ先輩にはばっちり聞かれてしまった。
「ルカ? ああ、最近また調子がよくないんだってね……。智が三日に一回は通ってる。あんな幼い子が、可哀想にね」
アスカ先輩のしみじみとした言葉に、私は強烈な違和感を覚える。
どうも話が食い違っていた。
「あの、調子ってどういうことですか? 可愛い子って……先輩が言っているルカって」
「え? 智から聞いたんじゃないの? ルカは私のイトコだけど」
「あいつに笑顔がないと調子狂うし家の中が暗くなるし、本当に迷惑」
「智先輩は家の中のムードメイカーだったんですね」
そう言うと、アスカ先輩は実に嫌そうな顔をした。
「どこが! あんなよくわからない奴、空気よ、空気。今、湿度が通常より十%アップしているの。超不快なの。――原因、わかる?」
「それは……」
私は口ごもってしまう。
智先輩が落ち込んでいる理由といえば、思いつくのは一つだった。
「ルカのこと……やっぱりショックだったのかな」
一人ごとをつぶやいたつもりだったけど、アスカ先輩にはばっちり聞かれてしまった。
「ルカ? ああ、最近また調子がよくないんだってね……。智が三日に一回は通ってる。あんな幼い子が、可哀想にね」
アスカ先輩のしみじみとした言葉に、私は強烈な違和感を覚える。
どうも話が食い違っていた。
「あの、調子ってどういうことですか? 可愛い子って……先輩が言っているルカって」
「え? 智から聞いたんじゃないの? ルカは私のイトコだけど」