失恋夢
先輩に誘われて、読書同好会に入った。


まだ正式な部活になれるくらいの部員がいないそうで、先輩と俺と芝崎っていう人の三人だけ。


芝崎って人が図書室に顔を出したところを俺は見たことが無い。


だからどんな人なのかは知らない。


知りたいと思ったことも無い。


だから放課後はいつも緊張していた。



正直、最初はあんまり乗り気じゃなかった。


図書室自体は静かで良い所だと思ったけれど、本なんて教科書を読むくらいでいいと思っていた。


でも、いつのまにか読書も悪くないなんて心のどこかで思い始めるようになる。


不純な動機だということは自分でも分かってはいたけれど、放課後が待ちどうしくてしかたがなかった。


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