ルージュはキスのあとで


「賭けは、お前の勝ちだ」

「え?」

「男に声をかけられるようになっただろう?」

「っ!」

「賭けを持ち出した時点で確信してたけどな。お前がキレイになって、男から声をかけられるようになるってな」

「え!?」

「考えてみろ? 負けるような賭けをするバカがどこにいる?」



 そういって自分を指差す長谷部さん。
 た、確かにそうかもしれなけど……これってなんだか納得がいかないんですけど。


 
「で、お前の望みは何だ?」

「……」

「ひとつだけ叶えてやる。そういう約束だったよな」

「そ、そうです……けど」



 改めてそういわれると困ってしまう。
 そっと上を見上げれば、長谷部さんが不敵に笑う。



「俺が欲しいなら、正直に言えよ」

「長谷部さん……」

「お前にだったらくれてやる。キスをお前にした時点でお前にすべてやるつもりだったがな」



 そんな長谷部さんの甘い誘導で、私は……気が付いたら気持ちが零れ落ちていた。



「欲しい……です」

「ん?」

「長谷部さんが……欲しい。私にください」



< 137 / 145 >

この作品をシェア

pagetop