それでも君を
仕事が終わって二人でスーパーで買い物をした。なんか新婚さんみたいやなーと笑う彼にそうだねなんて返事をしてみたり。
照れている彼は楽しいわーとかなんとかおどけていた。
家でご飯を食べながら他愛もない話をした。昨日のプレゼンの話や友達の話。なんでもないことばかりだったけどとても楽しかった。
「そういえばサキ先輩たち子供出来たんだって。」
「そうなんや、いつ生まれんの?」
夏頃かなと返すと適当やなと笑った。
「‥もう大丈夫なん?」
ナオがお茶を飲みながら尋ねた。
「当たり前じゃん、とっくに平気だよ。
おめでとうございますってちゃんと言ったもん。」
もう心配しないでと言うとナオは小さく笑った。
食器を片付けようとすると何も言わずに手伝ってくれた。
この人が旦那さんならきっと幸せになれるんだろうなとか考えてみた。
「ユリちゃん、もう一回改めて言うな。
俺はユリちゃんが大好きです。付き合ってくれませんか?」
洗い物を終えるとナオが真剣な顔で言った。
ちょっと緊張してるのが見てとれて少しおかしかった。
「私も大好き。ナオずっと仲良くやってこうね。」
そういうとナオは私を抱きしめた。抱きしめられながら幸せってこういうことかと思った。
それからどちらともなくキスをした。
短いキスだったけどすごく素敵な時間だった。
「ユリちゃん、愛してんで。」
「――はやくお風呂入ってきたら?
ドラマ始まっちゃうよ。」
一緒に入ろというナオの誘いを当たり前に断り一人ソファに座った。
何気なく携帯を開いてヤスくんのメモリを探し電話をかけた。
3コール目でヤスくんの声が聞こえた。
「――もしもし久しぶりユリです。」
「久しぶり、どうかした?」
そこでヤスくんにはまだ言ってなかったおめでとうと彼氏ができたことを報告した。
「いま幸せ?」
私がそう尋ねるとああと彼は短く答えた。
「ユリは、幸せなのか?」