それでも君を
「どう、俺の気持ち伝わった?」
体を離してナオの瞳が私をとらえた。
「…うん。」
恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいでナオを直視できなかった。
「だから好きな子のそんな姿見てられへん。ユリちゃん、不倫なんてやめてや。」
やめれるもんなら今すぐやめたいよ。
だけど好きなんだもん。
目を反らしてもつきまっとってくるこの気持ちをどうしたらいいのかわからない。
「ユリちゃん、俺おるから。
別に付き合ってとか言わへん。ユリちゃんが平気になるまで俺が隣におるからこんなんもうやめよ?」
ナオの優しい声と言葉が心のど真ん中に響いた。
ねぇナオ。私いま初めて心が満たされた気がする。
彼といるときは幸せだったけど、どこかポッカリ穴が空いているみたいでふとしたとき淋しくて潰れそうだった。
だからどんどん彼に依存していったのかな。
「…ナオ、私ずるいからナオに甘えまくるかもしれない。」
「ええよ、大歓迎。」
そう言ってまた私を抱きしめた。
私の背中にまわしたナオの手が規則的に動く。まるでお母さんが子供をあやすみたいに。それがとても心地よかった。
「…もし私がナオじゃない違う人のこと好きになったら?」
「ユリちゃんのことよろしくお願いします。って言う。ユリちゃんには幸せになってなって言うよ。」