キミに送る約束~空に向かって~

「.....いないんだよ。もう。」







小さく呟いた慧の声がどこからか
聞こえてきた。
震えた声で...泣きついてきた慧。

慧はいま.....どこに.....いる?


「ねえ、聞いた?死因の話し。」


隣にいたあたしの母親と同じくらいの
歳の人たちがコソコソ話す。
そういえばさっき近所の人だとか
言っていたな。


「え?何々?」

「実はね、彼氏と一緒にいたとき事故に
あったらしいのよ。」

「ええ!?もしかしてよく梓ちゃん家に
来てたかっこいい男の子?」

「え?ああ、あっちの“彼氏”じゃないわよ。」

あっち..........?


「ええ!?じゃあ...あの金髪の?」


金.....髪?


「そうらしいわよ。目撃者が金髪の男が
梓ちゃんを突き飛ばしたのを見たって
言っていたらしいのよ。何でそんなことに
なっちゃったのかしらね。」

「.....ヒドイわね。でもよく金髪の男の
バイクの後ろに乗っているのあたし
見てたわよー。」

「ええ!?本当に?あ、でもそれうちの
旦那が見たって言ってたわー。」

「そう.....二股かけてたからって
押し飛ばすことはないのにねー。」


そう言って鼻をすするおばさんたち。


でもあたしの頭は全然ついて
いっていなかった。
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