わたしとあなたのありのまま ‥3‥




五時限目は思いっ切り遅刻だった。



「すみません、お腹が痛くて……」


いつも使う言い訳に、世界史教師の小春ちゃんは、


「秋山さん、腸が弱いわよねぇ、可哀想に……。デートの時、困っちゃうわね? ふふふ」


肩をすぼめて可憐に笑う。

綺麗にカールされた内巻きの髪が、顔の横でふわりと揺れた。



これで四十ピー歳だという噂だからビビる。化け物だ。




席に腰掛けホッと息を吐いた。



私の席は廊下側の後ろから二番目。

窓際の前から4番目の席から、鋭い視線が真っ直ぐ向けられているのを感じそちらを見れば、それは予想に違わず綾子だった。


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