わたしとあなたのありのまま ‥3‥
「えー踊ってよー」

「踊れっ!」

とうとう野次みたいなのも飛び始めて、冬以が益々困った顔になる。


気の毒に……。



でも冬以は腹を立てたりしない。「金取るよ?」なんて、冗談言って笑って見せた。



「払うし! 金ぐらい!」

オッサンみたいなことを口にしたのは、紛れもなく女子の声で。


センターの女子も、それに便乗して言う。

「みんな、先生のダンス見たいんだってば。ほんと、どうしたら踊ってくれんの?」


こちらは必死というより切実だ。



もうここまで来たら、逃げ場はどこにもないような気がする。

窮地に追い込まれてしまった冬以、可哀想……。



「じゃあ……」

冬以が観念したように、渋々口を開く。そうして観客側にチラと一瞬だけ視線を寄越した。


あれ? 今私、冬以と目が合った気がする。


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