わたしとあなたのありのまま ‥3‥
あーあ、切ない。


こんなにも近くに居て、こんなにもたくさんの時を一緒に過ごして。


それなのに、私の恋心は少しも色褪せることなどなく、鮮やかなほどに情熱的で。

それなのに、相変わらず一方通行のままだから切な過ぎる。



その後、田所からは電話すらなかった。私が退散したのをいいことに、どうせ思う存分ゲームをやり耽っているに違いないんだ、チッ。




夕方、綾子が照哉くんと一緒に、自宅まで荷物を届けに来てくれた。


「一緒じゃなかったんだね。また喧嘩?」

綾子はどうでも良さそうに問う。



荷物は受け取って、ブスッとふて腐れたまま黙っていると、「じゃあね、今から私たちデートなんだー」と、照哉くんと手を繋いで帰って行った。


私と田所のことなんか、本当にどうでも良かったらしい。


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