愛を教えて ―番外編―
美月は自力で男の拘束から抜け出す。


「借りは作りたくないの。でも、あとは任せるわ。時間を稼いでね」


男は悪態を吐きながら、美月の長い髪を掴もうと手を伸ばすが――。

その手首を結人は捕らえた。肘を極めると同時に、男の体が宙に舞う。護身用に習ってきた合気道だ。幸か不幸か実戦経験は多い。


「結人、来るわよ!」


美月の声に顔を上げると、三浦老人を囲んでいた三人がこちらに向かって来た。全員がナイフを手にしている。

なるべく美月から離れなければ。あまり好きではないが、骨をへし折る必要が出て来るかも。もし拳銃を向けられたら、できる限り時間を稼いで……。

結人がそんなことを計算していたときだった。


建物全体が小刻みに震え始める。

それは次第に大きくなり、地響きと轟音が聞こえ始めた。


刹那――工場の全ての窓から、落雷の如き閃光が射し込んだのである!


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