愛を教えて ―番外編―
結人はこれまでに四度、誘拐事件に巻き込まれた経験があった。今回で五度目となる。


当初、父は息子たち、特に標的になりやすい結人には大人数のボディガードを付けた。だが、目立ち過ぎる点が問題となり、人海戦術は取りやめとなった経緯がある。

代わって取り入れたのがGPSと護身術。特にGPSは最新式の物を使い、ピンポイントで位置を割り出す。しかも、結人自身もどこに幾つ所持しているのか不明なほどだ。

護身術も戦い方だけではない。駆け引きを含めた交渉術も学んでいる。

金が目的でない、今回のようなケースではそれが有効に働いたといえよう。四人の男たちさえ現れなければ……。


男たちは馬鹿な考えを起こしたばかりに、警察用の装甲車両に囲まれ、あっという間に逮捕されていった。

三浦老人も同様に逮捕されてしまったのが心残りではあるが……。



「美月! 美月ーーっ!」


入れ替わるように飛び込んで来たのが美月の父、藤原太一郎だ。

結人にとってはいとこ叔父。なぜか、結人の母の実家・千早物産の重役をしている。家族思いで娘に死ぬほど甘い父親、というのが彼の印象だ。


「パパ!」


美月の顔にパッと灯りが点った。


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