愛を教えて ―番外編―
「大丈夫か? 怪我はないか? 酷いことはされなかったか?」

「ええ、大丈夫よ。結人くんが守ってくれたから」


父親に飛びつき、震えるような声で答える。

結人に対する口調とは百八十度方向転換した、見事な化けっぷりだろう。

太一郎は娘を下ろすと、今度は思いっきり結人の手を握り、


「ありがとう! さすが結人だ。おじさんは信じてたぞ! ホントにありがとなっ」


まさに、泣かんばかりに感激している。


「は、はあ……」

「あ、表でヘリを停めて卓巳が待ってるぞ。早く行け」

「え? ヘ、ヘリ?」

「万里子さんが、お前がいないことに気づいたんだ。自分はいいから結人を助けてくれって。とにかく、お前を連れて病院に戻らないと」


卓巳は父、万里子は母の名だ。


「はいっ! あの、あとお願いしますっ!」


結人は外に向かって走り出した。


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