愛を教えて ―番外編―
一条は卓巳を軽くかわし、万里子に向かって笑いかけた。
万里子はホッとしつつ、
「まあ、すみません。知らなかったもので、何もバースデープレゼントを持って来ませんでした」
「そう思って伝えなかったんだ。家内の教育方針でね、モノは必要以上に与えないことにしている。ありがたみのわからない人間にはなって欲しくないからね」
そのとき、奥から小学生かと思える少年と、まだまだあどけなく、ミルクの匂いがしそうな少女が姿を見せた。ふたりは手を繋いだまま駆けて来て、同時に、一条に抱きついた。
「お父さん……お客様なの?」
「おとーたん……おかくさまなの?」
来春、小学校に入学するという長男の悠(ひさし)と、ちょうどそのころに三歳の誕生日を迎える長女の桜(さくら)だ、と紹介される。
「いらっしゃいませ」
「いらっさいませ!」
礼儀正しくおとなしそうな兄が会釈すると、妹もぴょこんと頭を下げた。何でも兄の真似をしたい年ごろなのだろう。兄妹はふたりとも、万里子が驚くほど父親に似ていた。
万里子はホッとしつつ、
「まあ、すみません。知らなかったもので、何もバースデープレゼントを持って来ませんでした」
「そう思って伝えなかったんだ。家内の教育方針でね、モノは必要以上に与えないことにしている。ありがたみのわからない人間にはなって欲しくないからね」
そのとき、奥から小学生かと思える少年と、まだまだあどけなく、ミルクの匂いがしそうな少女が姿を見せた。ふたりは手を繋いだまま駆けて来て、同時に、一条に抱きついた。
「お父さん……お客様なの?」
「おとーたん……おかくさまなの?」
来春、小学校に入学するという長男の悠(ひさし)と、ちょうどそのころに三歳の誕生日を迎える長女の桜(さくら)だ、と紹介される。
「いらっしゃいませ」
「いらっさいませ!」
礼儀正しくおとなしそうな兄が会釈すると、妹もぴょこんと頭を下げた。何でも兄の真似をしたい年ごろなのだろう。兄妹はふたりとも、万里子が驚くほど父親に似ていた。