愛を教えて ―番外編―
食事のあと、万里子は子供たちに絵本を読んで聞かせた。

お誕生日プレゼントの代わりにと、それぞれ二冊ずつ。そして、四冊目が終わるころには、ふたりともウトウトとし始めた。

子供を抱きかかえ、二階の子供部屋に行こうとした妻に一条は、


「君はダメだ。万一のことがあったらどうするんだ。私が連れて上がるから」

「じゃあ、桜は私が……」

「ダメだと言ってる。――藤原、フォークナーの件で見せたい書類がある。二階の書斎に来てくれないか? ついでだ、子供をひとり頼む」

「……はいはい」


卓巳はそう来るだろうと言わんばかりに、夏海の傍で眠る桜に近づいたが、


「待て――娘は私が連れて行く」


呆気に取られる卓巳の横から桜を奪い取るように抱え、さっさと二階に上がってしまった。

夏海は苦笑いを浮かべながら、


「ごめんなさいね。身内以外の男の人には、ああなのよ。娘に触られるのもいやみたいなの。これからどうなるのかしらねぇ」


困ったように言うのだった。


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