愛を教えて ―番外編―
「ま、万里子……いや、あの……今の話を」

「あまり遅くなってもなんですから……そろそろ失礼しませんか? 車はわたしが運転しますので」

「今の話なんだが」

「何のことでしょうか? お仕事の話でしたら、日を改められたほうが」

「あ、ああ。そうしよう」


万里子は卓巳から目を逸らし、一条に軽く会釈して部屋を出て行った。


そんな万里子の様子に不穏なものを感じつつ……。卓巳には黙って見送ることしかできなかった。


「ドアを開けたままにしたのは失敗だったな」

「どうして閉めてくれなかったんですか!」

「呼びに来たときにわかりやすいと思ったんだ。私を責める前に、自分の迂闊さを反省しろ」

「……」


一条の正しさに、閉口するしかない卓巳だった。


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