愛を教えて ―背徳の秘書―
宗の望む相手にはなれそうもない。でも、自分から別れを告げることはできない。
だから……。
「すべて卓巳様からお返し願いたいのです。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
雪音はそう言うと、みかん箱サイズの段ボール箱をテーブルに置いた。
箱の中には宗からもらったものをすべて詰め込んである。そして一番上に松山までの航空券と鍵がひとつ。宗のマンションの合鍵だった。
「本当にそれでいいの? ねぇ雪音さん……こんな差出人の名前もない、怪文書を信用するの?」
万里子は潤んだ瞳で雪音の顔を覗き込む。
その言葉の意味も、万里子の気遣いもよくわかった。写真は合成かもしれない。宗は嘘をついていないのかもしれない。
だが……雪音にはわかるのだ。
宗が他の女を抱いた同じ腕で、雪音を抱いていることを。愛が嘘でなくとも、雪音の理想とは果てしなく遠いことを。
だから……。
「すべて卓巳様からお返し願いたいのです。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
雪音はそう言うと、みかん箱サイズの段ボール箱をテーブルに置いた。
箱の中には宗からもらったものをすべて詰め込んである。そして一番上に松山までの航空券と鍵がひとつ。宗のマンションの合鍵だった。
「本当にそれでいいの? ねぇ雪音さん……こんな差出人の名前もない、怪文書を信用するの?」
万里子は潤んだ瞳で雪音の顔を覗き込む。
その言葉の意味も、万里子の気遣いもよくわかった。写真は合成かもしれない。宗は嘘をついていないのかもしれない。
だが……雪音にはわかるのだ。
宗が他の女を抱いた同じ腕で、雪音を抱いていることを。愛が嘘でなくとも、雪音の理想とは果てしなく遠いことを。