大嫌いだから、ね? ③
続けようとした言葉は、開いたドアと、思いっきりタイミングの悪いお母さんの声に遮られた。
「ごめんね、遅くなっちゃったわね、お茶。
光くんは珈琲でよかったかしら。
ドリップしてたら、電話かかってきちゃって、ちょっと時間忘れてたわ。
ふふ、でも大丈夫。冷めてないわよ。
お茶菓子は、ミルクぷりん。
ん? あら、二人とも固まっちゃってるけどどうしたの?」
---どうしたのって、いわれたら・・・
「ううんっ、なんでもない」
「あ、なんでも、ないです」
と、同時にいって、縮まっていた距離を、飛びずさるように、離れるしかなかった。
「おかしな、ふたりね」
そういって、ふふってお母さんは笑ったけど・・・私の心臓は、どうしようもないくらいどくどくと、ふるえてた。
お母さんが急にあらわれたことにびっくりしたのはもちろんだけど、気持ちを伝える直前に、断ち切られたことで、行き場を見失った気持ちが身体の中で、身もだえているような感じだった。
・・・落ち着かなきゃ、私。
小さく息を吐いて、私は手を伸ばした。
「お母さん、お茶ほしい」
「はい、どうぞ」
お母さんが手渡してくれるマグカップを受け取った。