FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
学費にかかる費用は自分でアルバイトをして稼げばいいし、結婚してから職に就いていなかった母でも、無理のないパート勤めくらいなら出来ると思う。

それに母子家庭には助成金が出るはずだ。贅沢をしなければ、何とか生活していけると思う。
 
何より、あの父親の元にいるよりは、よほどマシだ。

(俺が子供でなかったら、今すぐにでも母さんをあいつから引き離して、沙都美と一緒にあの家を出られるのに)
 
いつも思うのはそれだった。しかし、現実はそうでないことは良く分かっている。だから今出来ることを頑張るのだ。

「やっぱ、セイは城西高校?」

「ああ」

「そっか。じゃあ、また高校も一緒に通えるわけだ」

「えっ!?」
 
聖は目を見開いた。

「何だよ、その顔は。確かに俺は頭は良くない。しかし、スポーツ推薦というものがあるだろ? 城西って、サッカーも強いじゃん?」

「確かにそうだけど……推薦してもらえるほど成績良かったっけ?」

「んにゃ、全然」

「……」
 
聖は呆れ顔で蒼馬を眺めた。

「ま、そういうわけで……俺の家庭教師してくれ! 頼む!」
 
両手を合わせ、必死の表情で蒼馬は懇願した。

「嫌だ」
 
それを冷たくあしらう聖。

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