FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「セイを待ってたら遅刻になっちゃうからな」
“セイ”とは聖のあだ名。
そう呼んでいるのはこの少年──堺蒼馬<さかい そうま>だけなのだが、何故そう呼ぶのかというと、“聖”という字を“セイ”と読むと勘違いしたことから始まっている。
後で訂正しようとしたのだが、「ま、いいじゃん」と軽く流されてしまった。別に支障があるわけではないので、そのまま好きに呼ばせている。
「そういや、また一番だな、中間も。どうせまだ見に行ってないんだろ?」
「ああ……点数、見てきた?」
「自分のくらい自分で見に行けよ、って言いたいところだけど、俺は心優しいからな。ちゃんと見てきてやったぜ」
なんて前置きをしてから、蒼馬はコホン、と咳払いした。
「オール満点だ。相変わらず、頑張ってるな」
「……そっか」
それを聞いて一安心する。
聖の志望する高校は、県下一の進学率を誇る有名校だった。このままいけば推薦で入学出来るし、特待生として奨学金も出る。金銭面においてもかなり負担が無くなる。
(そうすれば、早くあの家を出られる)
静と沙都美を連れて家を出る。それが今の聖の目標。
“セイ”とは聖のあだ名。
そう呼んでいるのはこの少年──堺蒼馬<さかい そうま>だけなのだが、何故そう呼ぶのかというと、“聖”という字を“セイ”と読むと勘違いしたことから始まっている。
後で訂正しようとしたのだが、「ま、いいじゃん」と軽く流されてしまった。別に支障があるわけではないので、そのまま好きに呼ばせている。
「そういや、また一番だな、中間も。どうせまだ見に行ってないんだろ?」
「ああ……点数、見てきた?」
「自分のくらい自分で見に行けよ、って言いたいところだけど、俺は心優しいからな。ちゃんと見てきてやったぜ」
なんて前置きをしてから、蒼馬はコホン、と咳払いした。
「オール満点だ。相変わらず、頑張ってるな」
「……そっか」
それを聞いて一安心する。
聖の志望する高校は、県下一の進学率を誇る有名校だった。このままいけば推薦で入学出来るし、特待生として奨学金も出る。金銭面においてもかなり負担が無くなる。
(そうすれば、早くあの家を出られる)
静と沙都美を連れて家を出る。それが今の聖の目標。