FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
みるみる巨大化していくヴァジュラを、十夜は驚愕の目で見つめていた。
 
近くに建つ都庁舎と同じ位なのではないだろうか。見下ろされるだけで足が竦む。もはや人間が相手出来る大きさではなかった。

「さあ……毘沙門天とともに、滅びるがいい」
 
暗い上空が更に陰り、ヴァジュラの手が下りてきた。

「……夢想拳!!」
 
渾身の力を込めて技を放つが、今のヴァジュラには軽い火傷程度の傷しか与えられない。

「くっ……!」
 
辺りに夢幻球を散りばめ、結界を張った。
 
ヴァジュラの手は受け止められたが、その体には凄まじい重力が圧し掛かる。ヴァジュラの手は結界ごと押しつぶす勢いだ。

「聖……!」
 
十夜は、まだ意識の戻らない聖を見る。

「聖……ごめん……長くは保たない……早く、目覚めてくれ……!」
 
ポタポタと汗がしたたり落ちる。

今にも押しつぶされそうなプレッシャーに、身をブルブル震わせながら耐える。
 
何とか聖を護ろうとして。
 
みんなの願いを叶えようとして。

 
ググッと圧力が強まる。

「ひ、じりっ……」
 
段々と真っ暗になっていく視界に、何とか留めた聖の姿。それに向かって叫んだ。

「聖、起きてええぇぇっ──!!」

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