FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
忘れたくとも忘れられないほど繰り返される運命。この時からずっと、運命の輪は止まることを知らない。
 
そう、この時から──。


──ミンナ、シンデシマウ──!!



少年のその叫びにより、少女は軽く跳ね飛ばされた。気が付くと歯車から手が離れてしまっていて、歯車の後ろにあった景色も消えていた。

『私には、どうすることも出来ない』
 
白い空間に無情に響いたはずの少女の声は、どこか寂しさを含んでいた。
 
 
もう一度歯車に触れてみる。もう何の景色も見えなかった。

『あれは夢。しかし、あれは現実……悲しい運命の始まり……』
 
ゆっくりと少女は目を閉じる。

『運命の輪は誰にも止められない。誰にも……』

 
誰にも止められない運命の輪。それがこの白い空間に存在する唯一のもの。

そして、この空間に唯一人存在するこの少女が、運命の輪を廻し続けている。
 
少女に名はない。しかし、人は彼女をこう呼ぶ。

──運命の女神、フォーチュンと。





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