FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
叫びながらパジャマを脱ぎ捨て、急いでシャツに袖を通す。
「そんなの、何回起こしても起きないお兄ちゃんが悪いんでしょ。目覚ましだって三十分は鳴ってるよ。ホント、寝起き悪いんだから」
「うるさいっ」
沙都美と言い合いながら部屋を出て階段を下り、台所に入る。そこには母の静がいつもの笑顔で待っていた。
それを確認した後、辺りを見渡すが……父の姿はなかった。少年は安堵のため息を漏らす。
「あら、やっと起きたの聖<ひじり>、ギリギリよ」
「はは……」
苦笑する少年──聖に静は大きな包みを手渡した。
「今からご飯食べてたんじゃ間に合わないわね。お弁当作っておいたから、後で食べなさい」
聖はいつも優しい母親に感謝して、小さく頷いた。
「お兄ちゃん、先に行ってるからねーっ」
玄関の方から沙都美の怒鳴り声が聞こえる。
「ほら、聖も早く行きなさい」
「うん……あ、そうだ」
思い出したように鞄の中をゴソゴソあさり、小さな紙袋を取り出す。
「母さん、右腕上がらないだろ? これ貼っておいて。治らない時は病院行けよ」
そう言いながら紙袋を静に渡すと、大急ぎで玄関から外に飛び出していった。
静はそれを見送り、渡された紙袋を開ける。そこには、湿布薬が一袋入っていた。それを見て、静は涙ぐむ。
「聖…」
静と夫との関係は、あまり良くない。
「そんなの、何回起こしても起きないお兄ちゃんが悪いんでしょ。目覚ましだって三十分は鳴ってるよ。ホント、寝起き悪いんだから」
「うるさいっ」
沙都美と言い合いながら部屋を出て階段を下り、台所に入る。そこには母の静がいつもの笑顔で待っていた。
それを確認した後、辺りを見渡すが……父の姿はなかった。少年は安堵のため息を漏らす。
「あら、やっと起きたの聖<ひじり>、ギリギリよ」
「はは……」
苦笑する少年──聖に静は大きな包みを手渡した。
「今からご飯食べてたんじゃ間に合わないわね。お弁当作っておいたから、後で食べなさい」
聖はいつも優しい母親に感謝して、小さく頷いた。
「お兄ちゃん、先に行ってるからねーっ」
玄関の方から沙都美の怒鳴り声が聞こえる。
「ほら、聖も早く行きなさい」
「うん……あ、そうだ」
思い出したように鞄の中をゴソゴソあさり、小さな紙袋を取り出す。
「母さん、右腕上がらないだろ? これ貼っておいて。治らない時は病院行けよ」
そう言いながら紙袋を静に渡すと、大急ぎで玄関から外に飛び出していった。
静はそれを見送り、渡された紙袋を開ける。そこには、湿布薬が一袋入っていた。それを見て、静は涙ぐむ。
「聖…」
静と夫との関係は、あまり良くない。