平凡太~ヘイボンタ~の恋
「コラ、平太くん。たばこは喫煙ルーム以外禁止だよ?」


「そうですね」


「ね、あたしにも一本ちょうだい?」


「吸うんですか?」


「うん」


一本差し出して火をつけてあげると、一華先輩は盛大にむせた。


「ゴホッ!ゴホンッ!」


「…プッ。吸えないじゃないですか?」


一華先輩の指からタバコを取り、そのままケータイ灰皿に入れた。


「見てると…おいしそうだったから…」


「味はこの上なくマズイです」


「そうみたい、ね?」


意味もなく顔を見合わせて笑った。
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