平凡太~ヘイボンタ~の恋
「一華、詞音の熱は?」


「さっき計ったら37.6℃。明日は両親に預けて仕事に行くつもり」


「傍にいてあげたら?」


「そうしてあげたいけど…。風邪の度に休んでちゃ、やっぱり、ね。両親には熱痙攣の事も話してあるし、心配ないわ」


「そっか。な、詞音、おいで?」


「なーに?パパ?」


「ぎゅー、しようか?」


「うんっ!」


小さな詞音ちゃんを胸いっぱいに抱き締めた。


子供の匂いって甘いんだな、と感じたのは。


イチゴのせいだろうか。


「パパだーいすきっ!ずっとママとしおんと一緒だねっ」


「うん、一緒だよ?」


「平太くん…っ…っ…」


「あー、ママまた泣いちゃったー。しおんがパパにぎゅーだったからー?」


「…っ…っ…っ…うん…そうだ、ね…」


「じゃあ次はママの番にしてあげる。パパ、ママをぎゅーして?」


「あっ、えっ!?」


詞音ちゃんは慌てるボクの手と一華先輩の手を引っ張った。


「じゃあ…ぎゅう…」


一華先輩の華奢な肩の震えが止まるまで。


ボクは胸に一華先輩を抱いて離さなかった。
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