先生と執事【続・短編】
階段で隠れていたことを忘れ、普通に返事をしてしまった。
そして、しまったと言う顔でお父さんを見ると口元がニヤッと笑った。
「盗み聞きは関心しないなぁ。な、麻椿。」
「そうだねー、ふふっ。」
これは、なんという失態。
背中に伝う汗が私の身体を冷やしていく。
「い、いつから気づいてたの?」
「んー?麻椿の妊娠が解った時ぐらいかな?」
「……それほぼ最初からじゃん!!」
私が早起きをしだしたのは、お母さんの妊娠が発覚してから。
その時から二人の会話を隠れて聞いていて…でもお父さんはそれに気づいてて……。
私、毎朝隠れる必要なんてなかったのか。
「まぁ聞かれても何も問題ないけどな。」
「うー……。」
お父さんはたまにイジワルだ。
まるで全てお見通しかのようにニヤっと笑う。
「じゃ、父さん行くな。お母さんの事よろしく。」
「うん……いってらっしゃい。」