不格好な恋愛。~Special Short Novel~
その日の夜、不思議な夢を見た気がする。
夢の中でもう寝ようと思ってベッドに入ろうとした時、さっき買ってきた鉢植えから光が放たれたのだ。
何だろうと思ってその鉢植えを見た。
すると鉢植えの中のお花の隣にちょこんと何かが座っている。
なんだろう?
よくよく見てみるとおとぎ話に出てくるような魔法使いのおばあちゃんが座っていた。
驚いて魔法使いの姿を見ているあたしに気付いたのだろうか、その魔法使いはあたしの顔をじっと見ていた。
「あら、かわいらしいお嬢さんだこと」
魔法使いは言った。
あたしは魔法使いが話したことに驚いて、少しだけビクッとしてしまった。
「驚かせちゃったかしら。初めまして、わたしは魔女よ」
魔法使いがにこっと笑った。
どうやら本当に魔法が使えるらしい。
「わたしはこのお花の中に住んでいるの。このお花を大切に育ててくれている人へお礼をしようと思ってお花から出てくるんだけど、なぜかみんな驚いちゃってねぇ」
それは驚くのも無理はない…。
お花の中から魔法使いのおばあちゃんが出てくるなんて、おとぎ話の中だけだろう。
「みんな夢かと思ってしまうのかしらねえ」
ふふふと笑いながら魔法使いはお花の上にちょこんと座った。
未だに有り得ない展開に頭がついていかない。
本当に夢なんじゃないかと疑ってしまう。
「あら、あなたも疑っているわね?いいわ、早いところお礼をしちゃいましょう」
魔法使いはお花の上に立った。
すると、杖みたいなのを出してくるくるっと円を描いた。
杖みたいなのに見とれているとだんだん眠くなってきた。
こんなところで寝ちゃいけないと思ってたんだけど、睡魔に勝てなくて…
魔法使いがなんか喋ってるんだけど聞き取れなくて、口の動きしかわからなかった。