不格好な恋愛。~Special Short Novel~

「こんばんは。楽しんでいますか?」


後ろを振り返るとまさに貴族っていう男の人がワインを右手に持っていた。

あたしの近くにいた人たちが彼を見て目の色を変えた。

そして彼のことを「王子」と呼んでいる。


「はい。楽しんでいますよ」

「それは良かった。どうですか?」


彼は手に持っているワイングラスをふりふりした。

乾杯しないか、ということらしい。

あたしも手にワイングラスを持って彼と乾杯した。


周りからの視線があたしに集中しているのは気のせいだろうか。


「もし、よろしければ一緒に踊りませんか?」



突然の誘いで驚いた。

この人、王子様なんでしょ?

あたしダンスなんて学祭でHIPHOPのようなそうじゃないようなダンスしか踊ったことが

ないのに、社交ダンスみたいなダンスなんて踊ったことないから無理!!


「あ、あの…実はあたし、ダンス踊れなくて…」


彼はぼそっと言ったあたしの言葉にちょっとだけ驚いたが、にこっと笑ってワイングラスをテーブルの上に置いてあたしの手を取ってステップを踏み始めた。


「ちょっ…王子様!?」

「大丈夫。僕にまかせて」


その言葉に




ズッキューーーーーーーーン(´▽`*)




何も出来ないあたしは本当にただただ王子様に身体を預けているだけ。

音楽隊の演奏と王子様の踏むステップがびっくりするぐらい合っていて。

リードしてくれる彼の姿に終始ドキドキしっぱなし。

でもきっとこのダンスが終わったら他の人のところに行ってしまうんだろうな、と思いながら少し寂しい気持ちとドキドキが混ざった感じで王子様のことを見ていた。


これが俗に言う一目惚れ?




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