人形の微笑
文句を垂れつつリリスを見ると、その顔は涼しいもので。
「どうでもいいですが、王子。
部屋に連行させていただきます」
愛らしいその顔にも、ほっそりと女らしいその体にも、焦った様子はどこにも見られない。
こっちは必死に隠れてたのに、その余裕はなんだ!!
と拗ねたいのは山々だが、
「早く降りてきてくださいね?
私……待ってますから」
目も覚めるような美女にそう言われてしまえば……
首を横に振る男などいないだろう。
リリスは王子が頷いたのを確認すると、
「ちなみに。
約束を破った場合は、この木から無理矢理落としますので。そのつもりで」