逃行少年
魔法はとける

長い夢も

いつかは醒める


「模範少年」
(逃行少年 弐)


「ここは、何処だろう?」

目を醒ました笠絵は、ぐるぐると辺りを見まわした。

古ぼけた小屋の中。
足下には、壊れた時計やバケツ、黒のプラスチックケース等でゴロゴロしている。

「これは、何だっけ…ああ、三匹の子豚に出てきた、泥の家のようだ」

笠絵は立ちあがると、壁ぎわに歩み寄ってみた。
壁が不自然に、でこぼこしている。
指で触ると、乾いた泥は、呆気なくポロポロと崩れ落ちてくる。

「これ、お札ぢゃないか!」

< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop