フライングムーン
第十章
次の日、彼はまた“何か弾いて”と私をピアノの前に引っ張った。
そして私が座るピアノのイスの隅に座った。
“何が良い?”と私は彼にリクエストを求めた。
“君が作った曲が良い”と彼は微笑んだ。
私は少し考えて昨日と同じように適当に鍵盤を押した。
頭で音を考えるよりも先に指が勝手に動く。
私は指が動くままに奏で続けた。
彼はただ黙って聴いていた。
また変な感じがした。
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