好きになっても、いいですか?

「ああ、申し訳ありません。少し、力仕事を」
「力仕事?」
「早乙女さんっ」


可笑しそうに言う敦志に、純一は不思議そうに返す。
それに対して、なぜだか麻子が少し怒ったような、困ったような感じに敦志に言った。


「力仕事とは?」
「いえ、先程大量のコピー用紙が届けられたそうで。それを、ただ収納してきただけです」
「は?コピー用紙?」
「芹沢さんはなんでも出来そうな方だと思っていましたが、女性らしい一面も見れました」


メガネを抑えて未だに楽しそうに話す敦志に、麻子は顔を少し赤くして視線を送る。


「役立たずで、すみません」


背丈もあって、内面的な力強さを持ち合わせているのにも関わらず、意外に非力。

負けん気の強い麻子にとって、それはちょっとしたコンプレックスだったりもした。



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